多分…日本にしかない仕様の「畳ベッド」
私は大手量販店でベッドの販売をしていましたが、最初は正直戸惑いました。畳のベッドに…。
そのうち、「売れない」「畳のメンテに手間がかかる」等理由から、店での扱いはなくなり、ほっとしました。今日はそんな「畳ベッド」のお話しです。
畳なの?ベッドなの??
そもそも畳ベッドを考案したいきさつが気になる商品ですよね。
世界中探しても日本にしかないと思われます。
畳みの上で寝たいなら、和室で寝ればいいだけ…と多分、若い方は思われるのではないでしょうか?
ベッドならやはりバネのきいたマットレス…!っていうイメージが私たち世代にはあります。小さい頃はみんなお布団で寝てました。小学生に上がってまもなくベッドが一般的に家具店に並ぶようになり、ベッドを持っている家に行ったら、その上でジャンプして遊んだ記憶があります。
ちょうど生活スタイルの転換期に幼少期を過ごした世代です。
「ベッド=スプリングマットレス」という公式が当たり前だった私ですが、あるときを境に畳ベッドに対する認識が変わりだしました。
それはやはり私が日本人だったからかもしれません…
30年ローンで家を新築!けちったことが悔やまれる…
いまから15~6年前の話ですが、家を新築しました。
周りからは「若いのに儲けてるな~」とか「立身出世!」などと言っていじられましたが、30年ローンでした。
「できたら定年を早く迎えたい」と思っていたので、逆算すると若いときからローン組む必要があっただけの話しです。
まず建築費を抑えるために、5社から見積りを取り一番やすいところに決めました。
ところが、オプションがすべて別途費用で落とし穴でした。出窓やベランダ、カーテンに電灯…すべてオプションで、どんどんと建築費は膨らむばかり。一部屋は和室にしたいと思っていたのですが、このオプションがまた馬鹿高い!
着工日が近づくと、仕事の合間ということもあり、思考能力はほぼ停止してました。「和室はもういりません」気がついたときはそう言ってました。
それはあとで大後悔につながることになりました。
やはり私は日本人だった…
元々住んでいた家は、5部屋のうち3部屋が和室だったのですが、新しい家は和室がひとつもありません…
正月に恒例となっていた、こたつでミカンを食べることもなくなりましたし、休みの日に畳にごろんと寝っころがって昼寝することもなくなりました。
生活スタイルは時代と共に移り変わるものだと理屈では分かっていても、慣れ親しんだ風習がなくなってしまうというのはやはりさびしいものでした。
けちって「和室」を作らなかったのは大失敗だと後悔する毎日。
そんなとき年老いた母がベッドを変えたいと言いだしました。
どこで調べたのか分かりませんがそれが「畳ベッド」だったのです。
私は和室を作らなかったことを心の中で詫びながら、畳ベッドの資料を集めました。
「なるほど~、い草は国産のものにするか、中国製か選べるのか…」などとパンフレットを見ていると、昔畳を入れ替えたときの「い草」のなんともいえない香りを思い出した気になりました。
寝っころがって、鼻を近づけて「い草」の香りをかいだものです。和室に住んだことがある人は経験があるのではないでしょうか。
まだ大手量販店に勤務していたころでしたので、自分で「畳ベッド」を手配をして同僚に搬入をお願いしました。畳ベッドが我が家に来る日、母以上に私の心は高ぶっていたと思います。
畳ベッドもなかなかいいものだなア
フローリングばかりの家に、久しぶりの畳の感触。
畳ベッドに一番にごろ寝をしたのはほかならぬ私でした^^
もちろん母も大変喜んでくれ、お布団で寝れることにも満足しているようです。クローゼットをすこし改造して押入れ仕様にしたので、毎日布団を上げ下ろししてます。
ベッド下にものが収納できるタイプにしたのも正解でした。ある程度の高さがあるので、布団を持ち上げるのに和室の時より負担がないようですし、ちょうど腰掛けるのにも適しているようです。母は日中はそこに腰掛けてお茶したり、テレビを見たり、寝っころがって昼寝をしています。
今まで鼻にもかけてなかった「畳ベッド」でしたが、
「なかなかどうして、いいもんだなあ」と見直しましたというお話しでした。
いかがです?日本独自の畳ベッド、興味はわきましたか。
い草の香りっていいもんですよ。
機会があったら嗅いでみてくださいね。
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